2023年3月2日、OpenAI社はChatGPTのAPIを公開しました。APIは開発者向けのツールで、アプリケーションやウェブサイトにChatGPTの機能を組み込むために使われます。一般のユーザーにとっては、少し難しく感じるでしょう。しかし、すでに多くのアプリやウェブサービスでこのAPIが活用されています。
例えば、企業の問い合わせページやカスタマーサポートのAIチャット機能などには、ChatGPTのAPIが組み込まれている場合があります。
APIを使えば、アプリやウェブサイトにも簡単にChatGPTの機能を組み込めます。
ChatGPT APIはブラウザ版と同様に言語モデルが選べますが、一般的に月額プランより低コストで利用できるといわれています。
(月額プランで選べる最高品質の言語モデルは「GPT-4o」です。それ以下「GPT-4o mini以下」は無料で利用できるので、APIで使用料金を掛けるのは、一般ユーザーにとってメリットがありません)
本記事では、ChatGPT APIの紹介や使い方、料金体系、導入例、また注意すべき点を詳しくご紹介します。一歩間違えば、高額請求がくることも・・・。ChatGPTをビジネスに利用したい方や、個人で安くChatGPTの有料機能を使いたい方は、ぜひ本記事を参考にしてください。
ChatGPT APIとは?
ChatGPT APIとは、ChatGPTの機能を別のアプリやウェブサイトに連携させる技術のことです。
APIとは「Application Programming Interface(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)」の略称で、ソフトウェアやWebサービスの間をつなぐインタフェース(通信の接点)を指します。
たとえば、グルメサイトで「お店の場所をGoogleマップで表示」するのは、「Google map APIが組み込まれているからです。
グルメサイトとGoogleマップは、異なる会社が運営している別々のサービスです。しかし、Googleマップの「API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)」を組み込むことで、グルメサイトは機能を拡大し、Googleマップの機能を自分たちのサイトに取り入れています。
ChatGPT APIは自然言語処理に優れているため、たとえば、カスタマーサポートの自動化や資料作成などの事務作業をChatGPTに任せることができます。当初は「GPT-3.5-turbo」というGPTモデルを採用していましたが、現在はより進化した「GPT-4o」が使えます。4oバージョンは、画像の生成やグラフの作成もできます。
※2024年4月24日の更新で、音声認識機能も使えるようになりました。
ChatGPT APIの使い方(APIキーの取り方)
※また、キーが他人に利用されると、利用料金があなたに請求されます!絶対に他人に知られないように、注意してください。
これでChatGPT APIを使うためのAPIキーを手に入れました。この後、実際にChatGPT APIを使うためには2つの作業が必要です。
1つ目はプログラミングコードをダウンロードする。
2つ目はプログラミングを書くためのコードエディタをダウンロードする。
どちらも初心者には難しい内容ですが、以下でやさしく、画像付きで紹介していきます。
ChatGPT APIを使う方法(Python)
ChatGPT APIは開発者向けの機能ですが、一般的に有料の月額プランより安いと言われており、使ってみたい一般ユーザーもいることでしょう。
実際のところ、一般のユーザーであればAPIを使わず、ブラウザやアプリでChatGPTを利用することをお勧めします。なぜならブラウザやアプリ版の方が便利なオプション機能が豊富で、操作も簡単。APIキーの悪用リスクもないためです。
ただしAPIの仕組みを知りたい方や、どうしても興味があるのであれば、使い方は非常に難しく、手間は掛かりますが試してみてもよいでしょう。
APIをなるべく簡単に使うなら「Python(パイソン)」と呼ばれるプログラミング言語がおすすめです。ただ特にプログラミング言語の指定は無いので、詳しい方は好きな言語でChatGPT APIを使って問題ありません。
以下に、ChatGPT APIをPythonで使う概要を紹介します。
Pythonをインストール
まずは、プログラミング言語であるpythonのアプリをダウンロードします。検索エンジンで「pyshon download」と検索して、該当するページをクリックします。その後、以下の画像解説の通りに進めてください。
インターネットで「Python download」と検索し、以下のページをクリック。 | Pyshonの最新モデルをダウンロードする。 | ダウンロードされたファイルを開く。 | チェックボックスにチェックを入れて、install nowをクリック。 | インストール完了まで待つ。 | ダウンロードが完了したので、clauseで閉じる。 |
これで、プログラミング言語であるPythonが利用できるようになりました。ただしプログラミング言語を使ってコードを書くには、コードエディタと呼ばれるプログラミング作成ツールが必要です。Pythonでプログラミングをするなら、Pycharm(パイチャーム)と呼ばれるコードエディタがおすすめです。
コードエディタをインストール
pythonをダウンロードしても、そのままでは使えません。プログラミング言語であるpythonを使うための、コードエディタ(プログラミング言語を書いたり編集するもの)のダウンロードが必要です。pytharmを使うなら、コードエディタは「PyCharm」がおすすめ。python向けに特化しているコードエディタで、pyrhon利用者が最も使っているコードエディタです。
をクリックして進みます。”> | をクリックして進みます。”> |
プログラミングコードを書く前の前準備
プログラミングコードを書く前に、apiキーの保護を設定しましょう。APIキーは、絶対に他人に流出してはいけません。そのための設定を行います。(専門的に言うと、環境変数「OPENAI_API_KEY」に取得したAPIキーを設定します。
1.PyChamを開きます。
2.左下の「ターミナル(Terminal)を開きます。
3.ターミナルに以下の赤文字の文章を入力し、Enterキーを押します。
※”取得したAPIキー”には、ChatGPTのAPIページで取得したAPIキーを入れてください。
””マークも忘れずに入力してください。
半角スペースも忘れず入力してください。(=の前後に半角スペースがあります)
■Windowsの場合
$env:OPENAI_API_KEY = “取得したAPIキー”
■Macの場合
export_OPENAI_API_KEY = “取得したAPIキー”
4.OpenAIのライブラリをインストールする。
ターミナルに「pip install openai」と入力してEnterキーを押します。
Pythonのプログラミングコードを書く
1.いよいよ、プログラミング言語を書いていきます。以下の画像部に、下記の文章を入力してください(赤字の質問文は、聞きたい内容に変えてください)。
import openai
openai.ChatCompletion.create(
model=”gpt-4o”,
messages=[
{“rore”: “system”, “content”: “You are a helpful assistant.”},
{“role”: “user”, “content”: “ChatGPTの特徴をおしえてください。“},
]
)
res_content = res[“choices”][0][“message”][“content”]
pront(res_content)
2.ターミナルに、入力したコードを実行するように指示します。
例:python main.py
※青字は、ファイル名を入れてください。
3.回答が出力(output)されます。
API導入後にチェックすべきポイント
ChatGPT APIをアプリやウェブサイトに導入する前後で、特に注意してチェックすべきポイントを6つ、詳しくご紹介します。
自社システムとの連携
まずは、ChatGPT APIを使ってどんなサービスを提供したいのか整理しましょう。たとえば、カスタマーサポートシステムにChatGPTを導入して、顧客の問い合わせに自動で答えるように設定するなど。新しい事業なのか、既存の自社システムに組み込むかを決定します。
次に、そもそもChatGPT APIが組み込めるかAPIと自社システムの互換性を確認し、問題なければスムーズに統合できるように仕様を設定しましょう。
効果測定
ChatGPT APIが導入できれば、次は導入効果を測定しましょう。たとえば、顧客サポートの待ち時間が短縮されたか、またはWebサイトへの訪問者が増えているかなど、数値を用いて効果を評価します。
分析と評価
ChatGPT API導入によるユーザーのフィードバックや、問題点を見てAPIの設定を調整しましょう。たとえば、使用頻度の低い機能の改善や、ユーザーの要望に応じたカスタマイズを行いましょう。その後も継続的なトレーニングを計画すると良いでしょう。
データセキュリティとプライバシー
セキュリティが十分に確保されているか定期的にチェックしましょう。顧客データの扱いについては特に注意が必要です。例えば、顧客からの問い合わせ内容が機密情報を含む場合、適切に情報が保護されているかをチェックします。
基本的には、ブラウザやアプリ版のChatGPTに比べてセキュリティは高くなっています(API経由の情報は、モデルの学習に使用されない、30日後に情報は削除されるなど)
最新情報の把握
ChatGPTは定期的にアップデートを行っており、APIについても仕様や料金設定が変わる可能性があります。料金設定についても、何度か変更が入っています。常に最新の機能を把握し、システムに反映することが重要です。
法規制の遵守
ChatGPT APIを組み込むサービスが、各国や地域、業界の法規制に抵触していないか確認しましょう。一部ではChatGPTの利用を禁止している国もあります。特にAIとデータ利用に関連する法規制が厳しい業界では、ChatGPT APIがこれらを遵守しているか確認しましょう。たとえば金融業界では、AI利用について特に厳しい監視の下にあるのが一般的です。
ChatGPT APIはマルチモーダルに対応
マルチモーダルとは、テキスト、画像、音声など異なる形式を組み合わせて処理する技術のことです。例えばSiriやGoogleアシスタントは、音声データをテキストに変換して地図やレストランの画像などを表示します。
ChatGPT APIも同様で、ユーザーが入力したテキストから、DALL·Eによる画像生成や、ChatGPTの音声コントロール機能による音声出力も可能となっています。
要するに、ChatGPT APIを他のアプリに組み込んでも、PCやスマホでChatGPTを使うのと同様の機能が利用できるという事です。
ChatGPT APIの具体的な使い方
ChatGPT APIを組み込むことで、AIを活用したソリューションが生み出せます。
すでに複数の活用例があります。
以下に、いくつかの具体例を紹介します。
1. Q&Aの自動化
ChatGPT APIを導入すると、たとえばオンラインショップでよく受ける「この商品はいつ届きますか?」といった質問に、自動で即答するAIチャットシステムが実装できます。これにより、ユーザーの問合せに対する待ち時間を大幅に削減し、顧客満足度を上げられるでしょう。さらに、ChatGPTが業務の一部を代行することで、スタッフの負担も軽減され、より効率的な運営ができます。
「具体例:カスタマーサポートの自動化」
ユーザー:「注文した商品が届きません。追跡番号は12345です。」
ChatGPT:「お問い合わせいただきありがとうございます。追跡情報によると、お荷物は本日中にお届け予定です。配達が遅れている場合は、直接配送業者にお問い合わせください。」
このように、システムを構築すればカスタマーサポートなど事務仕事の一部をAIが代行できます。
2. 業務の効率化
ChatGPT APIは、社内情報や教育資料をデータベースにAIアシスタントを作成すれば、ユーザーのさまざまな質問に対して最適な答えをすぐに回答できます。
「具体例:社内業務の効率化」
あなた:「新商品の企画会議を開催したい。開発部の全員が1時間参加できる直近の日時はいつですか?」
ChatGPT:「6月18日14:30~15:30に空きがあります」
具体例:教員の業務代行
あなた:「数学テストの答案をアップロードしたので、採点をしてエクセルの表にまとめてください」
ChatGPT:「採点が完了しました。採点済みのエクセルのダウンロードは以下からお願いします」
このようにChatGPT APIを導入することで、企業や教育機関の業務が大幅に削減できます。繁雑なスケジュール調整や採点作業から解放され、より価値の高い業務に時間を割けます。
3. 要約
報告書の作成や会議の議事録など、文章を作成・まとめる作業もChatGPT APIを使えば簡単になります。たとえば「議事録を400字以内にまとめてください」と指示するだけで、長い議事録を瞬時に要約します。また「来年度予算に関する部分だけを抜粋して」とリクエストすれば、特定のトピックに関連する情報だけをピックアップして書き出すことも可能です。
このようにChatGPT APIを使えば、複雑で時間のかかる文書作成作業を効率的に処理することができます。テキストベースの仕事であれば、ChatGPTを活用して業務効率を大幅に向上させましょう。
4. プログラミングのバグ発見、翻訳
ChatGPT APIは、コードの自動修正や、異なるプログラミング言語間での翻訳ができます。たとえば「Pythonで書いたコードに、バグがあるかチェックして」といったリクエストや、「JavaのコードをPythonに変換して」という作業も、このAPIがスムーズに処理してくれます。
ChatGPT APIの機能により、開発者はより効率的にプログラミング作業を進められます。時間の節約だけでなく、エラーの可能性も低減されます。また、ChatGPT APIを活用することで、単純作業の自動化が進み、開発者がより創造的な作業に集中できる環境が整います。
API利用時の注意点
ChatGPT APIは便利なツールですが、多くの情報を扱うため注意が必要です。以下にその内容と対策を説明します。
1. ChatGPTが虚偽の情報を生成する
ChatGPTは、正確で自然な文章を素早く生成する能力を持っていますが、時には誤った情報を返すことがあります(これをハルシネーションと呼びます)。このような間違いが、連携するサービスやシステムの信用を損なう原因になる可能性があります。そのため、重要な情報は人の目で確認し、事実関係を独自に検証することが必要です。
2. アクセス集中によるパフォーマンス低下
多くのユーザーがChatGPTに同時にアクセスすることで、応答速度が遅くなることがあります。応答が遅くなれば、ユーザー満足度の低下につながります。なるべくシステムの応答時間を考慮したAPI設計をすることが望ましいです。
3. APIキーの管理
ChatGPT APIの利用にはAPI Keyと呼ばれるコードが必要です。このAPIキーが流出すると、誰でもあなたのAPIを使うことが出来てしまい、その全ての使用分の請求があなた宛に届きます。APIキーは、必ず誰の目にも触れない場所で管理しましょう。
ChatGPT APIの料金は?
ChatGPT APIの料金は、使った分だけお金がかかる従量課金制です。一般的には月額プランよりコストパフォーマンスが高いと評価されています。APIは自由に言語モデルが選べます。同じ言語モデルなら、性能はブラウザ版と同じです。
またOpenAIによると、ChatpGPT APIの利用料金は発表された頃より大幅に削減されています。2023年11月6日に発表された「GPT-4 Turbo」では、当初より入力にかかる費用は1/3以下に、出力にかかる費用は1/2以下に減少しています。このような価格改定は、ユーザーの利用を後押しすることでしょう。
ChatGPT APIの支払い方法
ChatGPT APIの支払いはクレジットカードまたはデビットカードのみ選択できます。現在、請求書払いは対応しておらず、自動引き落としのみとなっています。したがって、利用登録時に有効なカード情報の入力が必要です。
ChatGPT API料金の計算方法
料金は「トークン数」×「 単価(モデル別)」で計算されます。
トークンとは単語や文字です。言語によって違いがあります。
例えば「Please translate 初めまして into English.」という文章のトークン数は、10Tokensです。
下にある画面の1色が1トークンです。
ご覧のように、英語は1単語が1トークン、日本語は1文字が1トークン(漢字は1文字が2~3トークン)が目安です。例外もあり、「こんにちは」は1トークン、「prescription」は2トークンとなります。
つまり同じ内容でも、言語によってトークン数を多くカウントされるので注意してください。(感覚的には、英語は日本語の1/3程度のトークン数になっている印象です)
より正確にトークン数をカウントしたい方は、OpenAI社の公式ツール「Tokenizer(トークナイザー)」を利用してみてください。文字を入力すると、トークン数をカウントして色別で教えてくれます。
単価については、モデルによって変動します。GPT-4であれば、
ChatGPTに入力(プロンプトトークン)で1,000トークンあたり約4.5円($0.03)、
ChatGPTの回答(サンプルトークン)で1,000トークンあたり約9円($0.06)です。
(1ドル150円で計算しています。費用レートはドルで設定されており、日本円に換算して請求されます。)
画像の単価は、標準画質の画像であれば、
512ピクセル以下×512ピクセル以下では0.3825円、
1600ピクセル×900ピクセルで1.6575円かかります。
詳しくは、公式サイトをチェックしてみてください。
※月額プランとChatGPT APIは別々のプランとして、料金が発生します。
また、支払いは月額プランと同様にクレジットカードのみ決済可能です。
無料枠について
ChatGPT APIに初めて登録すると、最初の18ドル分の使用料が無料となる「無料枠」が提供されます。18ドルを超過してから料金が発生します。まずは無料枠を利用して、テキスト生成や他機能を試し、実際のアプリケーションへの組み込み前に性能を確認してみましょう。
無料枠の利用後の料金発生
無料枠を使い切った後は、従量課金制に基づいて利用した分の料金が発生します。料金は「トークン数」×「単価(モデル別)」で計算され、使用量に応じて課金されます。言語や文字によってトークンの数が異なるため、具体的な使用量はプロジェクトやアプリケーションの内容によって変動します。予算に合わせた使用計画を立てましょう。
ChatGPT APIの料金を抑える方法
ChatGPT APIはアプリやウェブなどで使用されるため、不特定多数のユーザーに使用されることが想定されます。そのためAPIの設定方法を誤ると、思わぬ高額請求が発生する可能性があります。
以下に、利用料金の上限設定や、コストを削減するポイントを紹介します。
1.利用料金の上限設定
ChatGPT APIでは、予期しない高額請求を避けるために利用限度額を設定できます。
設定方法は、プラットフォームの「Settings」から「Limits」項目を選択します。ここで、月々の利用トークン数やリクエスト数の上限を設定することが可能です。ただし企業向け「Enterprise」プラン加入者のみ設定できます。
2.入力トークンのコスト削減
日本語はトークン消費が多いため、ChatGPTの入力を英語で行うとコスト削減になります。また英語は表現が直接的かつ具体的なので、ChatGPTが必要とする情報を正確に理解しやすくなり、余計なトークン消費を避けられます。加えてChatGPT APIはアメリカのOpenAI社が開発したモデルで、英語のデータに基づいて訓練されているため、英語での処理が最も効率的です。
3. 出力トークンのコスト削減
ChatGPT APIの応答で消費されるトークン数は、max_tokensパラメータで管理されます。このパラメータを設定することで、応答の長さを制限し、不要なトークン消費を防ぎます。しかし、max_tokensを適切に設定しないと、ユーザーが必要な情報を得られないことがあります。そのため、実際の利用シナリオに基づいて、最適な応答トークン値を見極めることが重要です。
4. Messagesパラメータを設定してコスト削減
ChatGPT APIを文脈に沿った形で使用するためには、過去のやり取りをmessagesパラメータに含める必要があります。このやり取りを適切に管理することで、APIの理解を深め、より関連性の高い応答を得ることができます。ただし、過去のやり取りを過度に含めるとトークン消費が増加し、コストが高くなるため、必要最低限の内容に抑えることが望ましいです。
初めはChatGPT APIを導入したシステムをテストして、max_tokensやmessagesを調整しましょう。運用を始めてからも、継続的にパラメータを調整し、応答品質とコストのバランスが取れるように改善していくことをオススメします。
ChatGPT APIを使うメリット
ChatGPT APIを活用すると、どんなメリットがあるのでしょうか? すでに数多くの企業や個人が、ChatGPT APIを自社のアプリケーション、ウェブサイト、さらには社内システムに取り入れています。ここでは、ChatGPT APIを採用することで得られる主なメリットについてご紹介します。
1. 業務の効率化
ChatGPT APIを活用すれば、書類作成やアプリ開発が半自動化し、そして効率化されるでしょう。例えば、会議の議事録や契約書、報告書など、手間のかかるドキュメントを自動で生成することができます。これにより、書類作成の時間を大幅に削減し、他の重要な業務に集中できます。
さらに、プログラミング言語の翻訳やコードのエラーチェックなど、開発者の頭を悩ます時間のかかる作業もAPIがサポートします。ChatGPT APIの導入により、開発時間が大幅に短縮され、より短納期でプロジェクトを進行させられるでしょう。
2. 多くの分野に汎用できる
ChatGPT APIは、テキスト処理のタスクにおいて非常に汎用性が高く、様々な業界で簡単に導入することが可能です。例えば、カスタマーサービス業界では、オペレーターの負担を減らすための代理として機能します。教育分野では、練習問題の作成や言語学習のアシスタントとして利用でき、医療分野では患者の問い合わせ対応や簡易な問診も可能です。さらに、エンターテイメントの分野では、新しい記事の作成や創作活動をサポートし、クリエイティブなコンテンツも作り出せるでしょう。
3.セキュリティが高い
ChatGPTは通常、入力したデータがアメリカの企業であるOpenAIに送信され、会話データを使ってChatGPTの学習が行われます。そのため、機密情報などを入力すると、外部に漏洩するリスクが懸念されています。しかし、APIを通じて送信されたデータは学習用に使用されず、通信履歴も30日で自動的に削除されるため、個人情報は厳重に守られています。ChatGPT APIでは、ブラウザ版より高いセキュリティ対策が施されており、セキュリティは突破されづらいので安心してご利用いただけます。
4. 顧客満足度の向上
ChatGPT APIを使うことで、ユーザーエクスペリエンス(UX)=ユーザー体験を高められます。例えば、問い合わせフォームにChatGPT APIを組み込むことで、24時間365日対応可能なチャットボットが完成します。このチャットボットでは、ユーザーはいつでも迅速に問い合わせに対する回答を受け取ることができ、サービスへの満足度が高まります。
さらに、ユーザーから収集した情報を活用すれば、それぞれのニーズに合わせた(パーソナライズされた)情報提供が可能になります。ChatGPT APIの利用は、ユーザー満足度の向上にも繋がるでしょう。
4.ChatGPT APIを使うリスク
ChatGPT APIがビジネスや個人の活動に広く取り入れられる中で、その利便性に目が向けられがちですが、同時に考慮すべきデメリットやリスクも存在します。以下では、ChatGPT APIの主なリスクついて解説しますので注意してください。
支払い料金の管理が必要
ChatGPT APIの利用には料金が発生します。APIを頻繁に使用する場合、コストが高額になることがあります。特に、小規模なビジネスや個人利用者にとっては、予想以上の出費となる可能性があります。
対策:利用頻度や用途に応じて、プランを適切に選ぶことが重要です。また、APIの使用量をモニタリングし、必要に応じて利用制限を設けることで、コストを管理しましょう。
情報の正確性とその対策
ChatGPT APIは、学習データに誤りがあったり、古いデータを参照したり、学習不足であったり、指示が的確でない場合は、誤った情報が出力される可能性があります(これをハルシネーションとよびます)。誤情報がユーザーとのトラブルに発展する可能性も考えられるため、重要な判断を行う場合は、人間が情報の正誤を見極めましょう。
ChatGPTへの依存
ChatGPT APIの導入により、業務の効率は向上します。しかし、その反面でAI依存が増し、重要な判断をAIに委ねることが多くなるかもしれません。このことから、組織内での意思決定力や創造的な思考が低下する危険性があります。AIの提供する回答が無機質な場合、ユーザーが冷たさを感じてしまい、顧客満足度が損なわれることも考えられます。
これらの問題に対処するためには、AIと人間をハイブリッドに使いこなすと良いでしょう。例えば、データ処理や情報提供などAIの得意とする領域はChatGPT APIを活用し、一方で最終的な意思決定やクリエイティブな業務は人間が担当します。このようにバランスを取ることで、技術のメリットを活かしつつ、人間らしい暖かみのある対応や質の高い判断を維持できます。
ChatGPT APIのセキュリティとプライバシー
ChatGPT APIは、ユーザーのデータのセキュリティとプライバシーを非常に重視しています。この記事では、ChatGPT APIを使用する際のセキュリティ対策やプライバシー保護について詳しく解説します。
1. API key(APIキー)の管理と安全性
APIキーは、ChatGPT APIのアクセスに必要です。しかしAPIキーが漏洩すると、不正アクセスや悪用のリスクが高まります。最悪、大量にAPIが使われてあなたに高額請求がくる可能性もあります。そのため以下のポイントに注意して、APIキーを管理しましょう。
- 安全な保管場所:APIキーは安全な場所に保管し、第三者に見られないようにしましょう。パスワードマネージャーを使用するのも有効です。
- キーの再生成:必要に応じてAPIキーを再生成し、古いキーは無効にすることでセキュリティを維持します。
- アクセス権限の管理:APIキーを使用するアプリケーションやサービスのアクセス権限を適切に管理し、不要なアクセスを防ぎます。
2. データのセキュリティ対策
ChatGPT APIで入力された会話データは、OpenAIのサーバーに送られますが、いくつかの重要なセキュリティ対策が施されています。
- データの学習利用なし: APIを通じて送信されたデータは、モデルの学習には使用されません。これにより、ユーザーのデータが未許可で利用されるリスクが軽減されます。
- データの自動削除: API経由で送信されたデータは、30日後に自動的に削除されます。削除期間を設けることで、データが漏洩する可能性を最小限に抑えます。
3. プライバシーに関する注意点
プライバシー保護についても、ChatGPT APIは高い基準を設定しています。
- 秘密保持の徹底: OpenAIは、ユーザーから送信されるデータを秘密保持し、外部に漏れないように厳重に保管しています。
- ガイドラインの遵守: OpenAIのガイドラインに従い、データの取り扱いに関するポリシーを取り決め、安全性の確保に努めています。
ChatGPT APIは、ユーザーのデータのセキュリティとプライバシーを保護するための多くの対策を講じています。使用する際には、OpenAIのガイドラインを確認し、最新のセキュリティ対策を知っておきましょう。
ChatGPT APIにできること
ChatGPT APIは、すでに多くの企業が取り入れています。では一体どのような事ができるのでしょうか。以下にChatGPT APIで使える具体的な機能を紹介します。
1. 文章作成・要約・添削
・メール作成:プロのビジネスパーソンが書いたようなメールを、短時間で作成できます。たとえば、会議の日程調整やプロジェクトの進捗報告など、さまざまなシチュエーションでメールを素早く準備できます。
・文章の要約:議事録やレポートの要約、文章で重要なポイントを抽出できます。これにより、多忙なビジネスパーソンも情報を素早くキャッチアップできます。
・添削:書いた文章の誤字脱字を修正し、文体を整えて読みやすくします。レポートや報告書、ブログ記事などの品質向上に役立ちます。
2. 言語翻訳
ChatGPTは多言語に対応しています。そのため各国のニュースを日本語に翻訳したり、逆に日本語のプレゼンテーションを各国の言語に翻訳できます。これにより、国際的なビジネスの場でコミュニケーションがスムーズに行われます。
3. 情報検索
インターネット上の最新情報を素早く検索し、必要な情報のみを一覧にまとめられます。たとえば新製品のレビューや特定のトピックなど、市場調査や競合分析が効率的に行えます。
4. プログラミングコードの作成
Pythonでのスクリプト作成や、Web開発に必要なコードの自動生成ができます。これにより、開発者はより創造的な作業に集中できるようになります。
5. チャットボットシステムの開発
カスタマーサポート用のチャットボットを構築して、顧客からの問い合わせに自動で応答します。これにより、顧客サービスの待ち時間が短縮され、満足度が向上します。
6. デバッグとエンジニアリング仕様の確認
プログラムのバグを自動で見つけ出し、修正案を提案します。また、仕様書に基づいて製品設計が適切に行われているかを確認し、必要な変更を提案します。
7. 会議の文字起こしと議事録作成
音声データをテキスト変換し、会議の議事録を作成します。これにより、会議の内容をすぐにチームメンバーに共有できます。
8. マニュアル作成
たとえば新商品の仕様書を基に、顧客向けの操作マニュアルを作成します。これが、製品の正しい使い方を顧客に迅速に伝えるのに役立ちます。
このようにChatGPT APIを活用することで、多くの業務が効率化され、時間と労力を節約できます。
ChatGPT APIの活用事例 15選
ChatGPT APIを活用して、多くのサービスが誕生しています。ここでは、ChatGPT APIを使った具体的なサービスモデル(Service Model)を紹介していきます(海外のサービスも多く紹介しています)。
1. 情報アプリ「グノシー」
グノシーは、個々の利用者の興味や好みに合わせたニュースや記事を推薦するアプリです。その中にある機能の一部として、業務支援特化 生成AIサービス「ウデキキ」を発表。ChatGPTをそのまま使えたり、アイデア出し、エクセル作成サポート、ビジネスメールの作成などが使えます。
2. マッチングアプリ「タップル」のプロフィールAI添削
タップルは、マッチングアプリとして有名ですが、ユーザーのプロフィールをAIが添削する「プロフィールAI添削機能」を追加しました。これにより、より魅力的で興味を引くプロフィールの作成を助け、マッチングの成功率を高めます。
3. マニュアル自動作成サービス「Manual Force」
Manual Forceは、業務マニュアルを自動で作成するサービスです。複雑な手順やガイドラインを簡単に文書化し、企業の効率的な情報管理を支援します。
4. 電話商談の自動要約「Comdesk Lead」
Comdesk Leadは、IP回線と携帯回線を併用できるサービスです。ChatGPT APIを活用し、通話内容を自動で文字起こしできます。また通話内容の翻訳も可能で、「文章形式」「箇条書き形式」など選べます。
5. Web会議自動翻訳ツール「Minutz(ミニッツ)」
Minutz(ミニッツ)はWeb会議を自動で文字起こしし、その内容を100言語以上に翻訳できるツールです。会議の重要なポイントを抜き出して要約する機能もあり、参加者は会議後すぐに重要な情報を確認できます。例えば、国際的なチームの会議で使用すると、言語の壁を感じることなく全員が同じページに立てるようになります。
6. 社内向け生成AIツール「ObotSERVE Biz」
ObotSERVE Bizは、社内での文書作成を自動化するAIツールです。報告書やFAQ、プレゼンテーションの資料作成など、日々の業務を効率的に進めるためのサポートを提供します。例えば、毎月の営業報告を自動で生成してくれるなど、時間を大幅に節約できます。
7. Web接客ツール「ObotSERVE」
ObotSERVEは、Webサイト上で顧客サポートを自動化するツールです。顧客からのよくある質問に自動で回答し、リアルタイムでの問い合わせ対応も可能です。これにより、顧客満足度の向上とサポート業務の負担軽減が期待できます。
8. Quizletの「Q-chat」
Quizletは、学習支援ツール「Q-chat」でChatGPT APIを利用しています。これにより、ユーザーは質問を打ち込むだけですぐに答えが返ってくるため、効率的に学習を進めることができます。たとえば、数学の問題や歴史の事実について質問すると、その場で解説が得られます。
9. Speakで外国語学習、翻訳、日常会話
SpeakはChatGPTのプラグイン(GPTs)のひとつで、ChatGPT APIを活用して外国語学習をサポートするツールです。ユーザーとの会話を通じて、フレーズの使い方や例文を紹介してくれます。これにより、ユーザーは会話練習を通じて自然な言語能力を身につけることができます。例えば、日常会話からビジネス英語まで、幅広いシナリオで練習ができます。
10. Duolingoの「Duolingo Max」
Duolingoは言語学習プラットフォームで、新プラン「Duolingo Max」を導入しました。このプランは、AIがユーザーの回答に対して正誤を判断するだけでなく、文法ミスを指摘し、正しい形とその理由を教えてくれます。またロールプレイでは、パリのカフェでコーヒーを注文したり、友達をハイキングに誘ったりといった練習が行えます。
11. Khan Academyの「Khanmigo」
Khan Academyでは、オンライン学習アシスタント「Khanmigo」をリリースしました。このAIアシスタントは、生徒に合わせた個別指導で学習サポートを提供するとともに、教師の教育支援ツールとしても機能します。生徒が数学の問題に詰まった時、Khanmigoがステップバイステップで解説を提供します。
12. Stripeの顧客サポート
オンライン決済サービスのStripeは、ChatGPT APIを使用して顧客サポートを強化しています。例えば、開発者が技術的な問題に直面した場合、APIがその問題を理解し、適切な解決策や技術文書へのリンクを瞬時に提供します。また、不正行為の発見や防止にも役立っています。ChatGPTを運営するOpenAIも、決済システムについてStripeを採用しています。
13. レスリリース自動作成ツール「Qlipper(クリッパー)」
Qlipper(クリッパー)は、企業の広報活動をサポートするためにプレスリリースを自動生成します。ユーザーがイベントの詳細や新製品の情報を入力すると、それをもとに適切な形式のプレスリリースを作成してくれます。これにより、迅速かつ効率的な情報発信が可能になります。
14. リファレンスチェックサービス「Parame Recruit」
Parame Recruitでは、採用プロセス中のリファレンスチェック(信用調査)にChatGPT APIを活用しています。応募者の経歴やスキルに基づいて質問を生成し、その回答をもとにより正確な人物評価を行います。これにより、採用の質の向上とプロセスの効率化が図れます。
ChatGPT APIは、多様な業界や用途で幅広く活用され、企業の業務効率やユーザーエクスペリエンスの向上に大きく寄与しています。これらの事例を参考に、自分のプロジェクトでのChatGPT APIの活用方法を検討してみてください。AI技術を効果的に活用することで、より良いサービスの提供や業務効率化を実現することができるでしょう。
Azure(アジュール)との連携
Azure(アジュール)は、Microsoftが提供する「インターネット上のスーパーコンピュータ」のようなものです。これは、会社や個人が自分のコンピュータを使う代わりに、Azureのパワフルなコンピュータやソフトウェアを借りて使えるサービスです。
Azureを使うと、例えば以下のようなことができます。
・人工知能(AI)を使う: AIを使って画像を分析したり、音声を文字に変換したりすることもAzureでできます。これにより、たとえばチャットボットを作ってお客様の質問に自動で答えることができます。
・ウェブサイトやアプリを作る: 自分のコンピュータを使わなくても、Azure上でウェブサイトやアプリを簡単に作ったり、管理したりできます。
・データを保存する: Azureには大容量のデータを安全に保存できる場所があります。写真、ビデオ、文書など、いろいろなデータをオンラインで保管できます。
どんな規模の会社でも、あるいは個人でも、Azureを使えば、ITの力をフル活用して仕事を効率よく進められるでしょう。
ChatGPT APIのよくある質問
Q1. どの言語に対応していますか?
ChatGPTは多くの言語に対応しています。主要な言語はもちろん、あまり一般的でない言語でも対話できます。ただし、言語によって精度や性能が異なることがあるため、特定の言語を使う場合は事前にテストすることをおすすめします。
Q2. ChatGPT APIに制限はありますか?
ChatGPT APIの制限で特に重要なのが、文字数制限です。
- 文字数制限: 一度に送信できるテキストの最大は4,097トークンです。この制限を超えるとエラーが発生します。長文を送信する際には、適切に分割してください。
ChatGPT APIの問い合わせ
ChatGPT API利用中に問題が発生した場合は、以下の手順で対応しましょう。
- 公式ドキュメントの確認
・OpenAIの公式ドキュメント(https://beta.openai.com/docs/)の「Help」を確認し、問題について問合せましょう。多くの問題は、このドキュメント内で解決方法が提示されています。 - フォーラムでの検索
・OpenAIのコミュニティフォーラム(https://community.openai.com/)で、他のユーザーが同様の問題に対処した経験を共有しているかを探してみましょう。以下の情報を含めると対応がスムーズになるかもしれません。
・APIキー: 問題が発生したAPIキー
・エラーメッセージ: 発生したエラーの詳細なメッセージ
・リクエストの詳細: 送信したリクエストの内容
・再現手順: 問題を再現するための手順 - チャットボットに問い合わせ
・上記の方法で解決しない場合は、チャットボットに聞いてみましょう。右下の吹き出しマークをクリックして、チャットボットに質問してみてください。
まとめ
ChatGPT APIを活用することで、業務効率を大幅に向上させることができます。また、ユーザー体験を向上させることも可能です。具体的な事例を参考に、自分のプロジェクトにどのように取り入れるかを検討してみましょう。AI技術を効果的に使って、より良いサービスを提供しましょう。